メタボリックシンドロームとは?診断基準や原因・治療法を解説

メタボリックシンドロームとは

メタボリックシンドロームとは内臓脂肪型肥満に脂質代謝異常や高血圧、高血糖の2つ以上が複合した状態です。

メタボリックシンドロームと聞くと太った人をイメージする方も多いと思いますが、肥満体型というだけでは該当しません。

また、メタボリックシンドロームは動脈硬化を進行させる危険因子が組み合わさるため、心臓病や脳卒中など、命にかかわる病気を引き起こす恐れがあります。

重篤な病気を発症する原因となる生活習慣病や動脈硬化の予防として、内臓脂肪を減らせるよう生活習慣の見直しを行うことが重要です。

動脈硬化について

メタボリックシンドロームの原因

メタボリックシンドロームの診断基準には、内臓脂肪が蓄積しているかを確認する指標として腹囲の数値が用いられています

その腹囲が大きくなる主な原因は「過食」と「運動不足」です。

さらに、以下のような生活習慣が関わっていることもあります。

  • 睡眠・休養の不足
  • 過剰なストレス
  • アルコールの飲みすぎ
  • 喫煙
  • 肥満

ストレスが溜まりすぎて暴飲暴食をしてしまったり、タバコの本数が増えたり、お酒をたくさん飲んで気晴らしをするといった習慣がある方は注意しましょう。

とくに、車移動が多い方やデスクワークが多い方は、定期的な運動を習慣化することが大切です。

メタボリックシンドロームの診断基準

日本ではウエストの周囲長と脂質異常・高血圧・高血糖のうち、2つ以上が基準値以上となった場合にメタボリックシンド ロームと診断されます。

メタボリックシンドロームの基準値は以下の通りです。

メタボリックシンドロームの診断基準を図表でまとめました。

内臓脂肪がどれくらい蓄積しているかの指標として、ウエストのサイズを用いています。

普段、ウエストを測るときはくびれた部分にメジャーを当てると思いますが、メタボリックシンドロームの腹囲はおへその上を基準に測定します。

メタボリックシンドロームの治療

メタボリックシンドロームの治療は食事療法と運動療法を行うのが基本です。

食事の管理や運動がめんどうになり、放置してしまうという方も少なくありません。

しかし、メタボリックシンドロームは生活習慣病を起こしやすく、動脈硬化を進行させる原因となるため、積極的に生活習慣病の治療に取り組むことが大切です。

食事・運動療法の重要性

メタボリックシンドロームは内臓脂肪が蓄積することで、以下のような負の連鎖が起こり、重篤な病気を発症する恐れがあります。

メタボリックドミノを図表でまとめました。

食事療法や運動療法は面倒に感じてしまうこともあると思いますが、心筋梗塞や脳梗塞などの命にかかわる病気の予防として取り組むことが重要です。

また、太っている方すべてがメタボリックシンドロームに該当するわけではありませんが、内臓脂肪は20代~30代から増加することが明らかになっています

肥満やメタボリックシンドロームの予備軍であっても、内臓脂肪を増やさないよう食生活の改善や適度な運動を心がけましょう。

メタボリックシンドロームの食事療法

食事療法を行う前に、1日の適正カロリー量を確認しましょう。

1日に必要なカロリー量は以下の計算式で割り出せます。

身長(m)×身長(m)×22(標準体重)×活動量

1日の活動量によって必要なカロリー量が異なるため、該当する数字を標準体重に掛け算します。

デスクワークや家事などの軽い活動:標準体重×25

1日に30分以上は歩くという中等度の活動:標準体重×30

肉体労働のような重労働:標準体重×35

計算の仕方は以下を参考にしてみてください。

身長が160cmで中等度の活動量の例

標準体重:1.6(身長)×1.6(身長)×22=56.3kg

1日の適正エネルギー量:56.3(標準体重)×30(活動量)=1689カロリー

食事での改善方法

内臓脂肪がつきやすくなる原因は次のような糖質の摂り過ぎによるものです。

  • 白米
  • 麺類
  • パン
  • ビールや日本酒

糖質は中性脂肪に合成され、エネルギーとして消費されます。

消費されずに余ってしまった中性脂肪が内臓脂肪として蓄積されていきます。

そのため、糖質の摂取量をいつもより少なめにして、以下のことに注意しながら食事のバランスを見直してみましょう。

  • 糖質制限をしてタンパク質の摂取量を増やす
  • 血糖値の急激な上昇を防ぐためにゆっくり噛んで食べる
  • 高GI食品(白米や小麦粉などの白い炭水化物)から低GI食品(玄米や全粒粉を使ったパンなど)に切り替える

しかし、糖質制限をすると脂肪が減りやすくなりますが、過度な糖質制限は控えるようにしてください。

最初はスムーズに体重や脂肪が減ったように見えても、リバウンドしやすくなってしまうので糖質の減らし過ぎに注意しましょう。

内臓脂肪を減らすのにおすすめな食品

内臓脂肪を減らすのにおすすめな食品は以下のものが挙げられます。

  • 海藻類・キノコ類・野菜など食物繊維の多い食品
  • 不飽和脂肪酸を多く含む青魚や大豆製品
  • 納豆・キムチ・ヨーグルトなどの発酵食品

また、料理をするときに精製された白いお砂糖を使っている方は、糖の吸収をゆるやかにするきび糖やてんさい糖などに切り替えるのもよいでしょう。

メタボリックシンドロームの運動療法

内臓脂肪を減らすにはエネルギー消費量が高い以下のような有酸素運動がおすすめです。

メタボリックシンドロームに有効な有酸素運動

週に150分以上の運動をしなければ減量は困難となり、脂肪の燃焼を促して内臓脂肪を減らすには20分以上の運動が必要です。

無理なく続けられるウォーキングや、自宅でかんたんにできるダンスなどから始めてみましょう。

忙しくて時間がないという方は通勤時間や買い物などで歩く時間を増やし、1日の運動量を増やすのも効果的です。

メタボリックシンドロームの薬物療法

非薬物療法で効果が認められない場合は薬物療法が検討されることもあります。

他の病気で使うお薬を含めるとさまざまなものがありますが、肥満症で処方する食欲抑制剤などもあります。

サノレックス(一般名:マジンドール):BMI35以上の高度肥満の方が適応

ウゴービ(一般名:セマグルチド):BMI27以上(170㎝で78㎏強・160㎝で69㎏強)かつ肥満関連の健康障害が2つ以上ある場合に適応

アライ(一般名:オリルスタット):※OTC医薬品

ウゴービと同じタイプの糖尿病治療薬が、自由診療領域で出回っています。
しかしながら日本糖尿病学会が警鐘をならしている中で販売をし続けている医療機関になりますので、その倫理観についてご注意ください。

しかし、食事や運動で改善が認められなかったり、条件を満たした方が対象となるため、基本的には非薬物療法で治療を行うのが望ましいです。

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関東労災病院や日本医科大学武蔵小杉病院と強固に連携しており、専門医による内科診療を行っています。

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